2025年12月14日(日) 高校2年生狩谷愛波さんが広島県・へいわ創造機構ひろしま(HOPe)主催「被爆80年人材育成特別プログラムの最後の活動として、広島県知事 横田美香氏をはじめとする多くの聴講者の前で、プレゼンテーションを行いました。
本プログラムは、被爆から80年という節目を迎えるにあたり、被爆体験の継承と核兵器問題への理解を次世代へとつなぐことを目的として実施されているものです。核兵器をめぐる国際情勢や歴史、核抑止論、核兵器禁止条約などについて専門家から学ぶとともに、被爆者の証言に直接触れ、国内外の若者や研究者との対話を通して、多角的な視点から「核兵器のない世界」について考える内容で構成されています。参加者は、核兵器が使用された場合に想定される最悪のシナリオ(ワースト・シナリオ)を検討し、その回避に向けた提言をまとめ、最終発表に臨みました。プログラムのHP
最終プレゼンテーションにおいて愛波さんは、核戦争が勃発した際、国家や国際社会といったマクロな視点だけでなく、私たち一人ひとりの市民の生活に何が起きるのかを「ミクロの視点」から具体的に描写しました。爆発直後の混乱だけでなく、医療やインフラの崩壊、家族や地域社会の分断、長期にわたる健康被害や心理的影響など、日常生活の延長線上で起こり得る事態を丁寧に想定し、その現実味のある内容は強い印象を残しました。
このプレゼンテーションの高いリアリティは、これまでの「グローバル未来塾inひろしま」をはじめとする様々な平和・国際教育プログラムに参加し、被爆者の声や証言、科学的知見、国際的な議論を積み重ねてきた学びの成果が随所に反映されていました。被爆の記憶を過去の出来事として捉えるのではなく、「もし今起きたら、私たちはどうなるのか」という切実な問いとして提示した点に、本プログラムで培われた深い思考力と発信力が表れていました。

当プログラムの成果物として提示された「ワースト・シナリオ」は、極めて完成度が高く、強い現実味を伴う内容でした。その描写は、決して遠い未来の仮定ではなく、私たちの社会や日常生活の延長線上に起こり得る事態として迫ってきます。このシナリオが現実のものとならないようにするために、私たち一人ひとりが何を考え、どのように行動すべきかを真剣に問いかけるものでした。
愛波さんの平和を希求する真摯な思いと、それを行動へと結びつけてきた実行力を、学校として大変誇りに思います。今後のさらなる活躍を心から期待するとともに、彼女の姿に刺激を受けた在校生が、校外へと一歩踏み出し、主体的に学び、挑戦し、活躍してくれることを願っています。本校は、こうした生徒一人ひとりの挑戦を全力で支えながら、世界平和の実現に寄与する人材の育成に、今後も継続して取り組んでまいります。



