ALOHA STUDY TOUR 2019はいよいよ3週目に入り,現地でしか体験できない,様々な学習ができているようです。現地からの報告をどうぞ!
27日(土曜日)
アリゾナ記念館と戦艦ミズーリを訪れました。アリゾナ記念館は現在修理中ということで,海中に眠る戦艦アリゾナの上に建造された記念館に入ることはできませんでしたが、実際にパールハーバーへと船で乗り出てみると、この場所を日本軍が攻撃して多くの命が失われたのだと思うと、なんとも言えない複雑な気持ちとなりました。乗り込んだ船に日本人はほとんどおらず、大半はアメリカ人でした。その中で、生徒たちもいろいろなことを感じたことと思います。数日かけてブラント先生より、戦争に関する歴史はもちろん、戦争に関する英単語も教えていただいていたので、解説の動画やアナウンスに頷きながら耳を傾けていました。
戦艦ミズーリは思っていたよりも巨大で、圧倒される大きさでした。たまたま話しかけてくれた日系ガイドの方は,ルーツが広島で奥様も呉出身ということで共通点も多く、会話も弾んだおかげでアリゾナ記念館で落ち込んでいたムードも少し回復しました。中学の歴史で習う、全権大使重光葵が降伏文書にサインした甲板で解説を聞き、そして沖縄海戦において19歳の青年が特攻でぶつかり曲がった手摺り部分を目にすると、教科書に書いている歴史に血の通ったようなリアルさを感じました。目の前にいる大切な生徒たちが2年後に特攻しなければならなかった世の中があったということを思うと、胸が苦しく、戦争を二度と繰り返してはいけないものだと改めて感じることができました。ちなみに、その特攻で亡くなった青年の上半身はミズーリ号の上で発見され、船員たちの反対の声もある中、「国のために戦った、立派な青年のために」と,艦長が水葬の指示を出したそうです。戦争中、殺し殺されるという、真反対の立場にあったもの同士のはずですが、その中で必死に相手に敬意を払い,理解しようとする姿勢を持つ人たちがいたことに人間としての希望を感じました。
アリゾナ記念館と戦艦ミズーリについての日本語サイトはこちら
29日(月)
今日は、Farm to Fork という地産地消に取り組む,Ma’o Organic Farmという大型農場へと向かいました。オアフ島の西部に位置する農場で、周りをたくさんの山に囲まれている地域です。(後の説明で発覚するのですが、私たちはカルデラのど真ん中に立っていたようです。)
到着後はじめに、ハワイアン5世のKukui Maunakeaさんより、伝統的な農業の仕方や山との付き合い方など教わりました。大きな農場をゆっくりと歩いて回りながら、有機栽培による循環式の農業の意義や地域と自然の調和について理解した後、強い日差しが降り注ぐ中、雑草抜きなどの手伝いをしました。お手伝いの後のお弁当は格別に美味しかったです。デザートに農場で作られたマンゴーをご馳走になりましたが、今まで食べた中で一番美味しい!と生徒たちは大喜びでした。
Kukuiさんのお話で、個人的に心に強く残ったのは、「自分の言葉を話してコミュニケーションが取れるというのは当たり前のことではない。自国の言葉を大切にして欲しい。」という言葉でした。ハワイ語を話す機会が減り、ハワイ語を話す人が減り、言語が失われていくということは文化やその人たちの考え方も失われていくことなのだと感じました。そういった状況下で、農業を通して、「どれほど自分たちがこの島を愛しているか」を農場で働く若者や農産物を口にするハワイの地元の方々に伝えているのだなと思いました。どのような仕事でもプライドや熱い想いを持っている方は素敵だなと先週に引き続き感じてくれたはずです。
地産地消は,SDGs「⑫つくる責任,つかう責任」の観点からも,これからの私たちの社会にとって,とても大切な消費活動です。日本でもFarm to Forkの活動は食品生産会社や神戸市などの地方都市でも活発に取り組まれています。自分ができることから始めましょう。
Ma’o Organic Farmのサイトはこちら
30日(火曜日)
ハワイ大学マノア校(ハワイ大学本校)でのキャンパス見学へ出かけました。アメリカの大学は学費が高い分、教育施設やジムなど施設が充実しています。キャンパスの規模だけではなく,その設備の良さに生徒たちは驚いていました。大学ではハワイ先住民の血を引くスタッフからハワイの歴史などの講義を受けましたが, Bishop Museumなどでこの3週間学んできたので、理解しやすい部分もあったようです。最後に、ハワイ大学への入学に必要な条件などを聞くことができました。
University of Hawai’i at Manoaのサイトはこちら
31日(水曜日)
ハワイ日本文化センターへ出かけました。日本の移民の歴史、日本文化がどのように受け入れられているのかを学ぶことのできる施設です。展示では、第二次世界大戦中の日系アメリカ人の扱われ方やその歴史も学ぶことができました。広島学の授業で学習した内容も出て来ましたが、移民した方々が使っていた農機具や当日のパスポートなど実物も多く生徒たちはガイドの方にたくさん質問しながら積極的に見学をしていました。サトウキビなどのプランテーションで低賃金で働かされていた状況から、現在の日系ハワイアンの地位を確立するまでに多くの努力と犠牲が必要だったことを理解することができました。ハワイでの滞在は1ヶ月ですが、海外で生活している生徒たちにとって、自分や家族の一生をかけて海外に出て来た,かつての日本人の生き様はどのように心に響いたのでしょうか。
ボランティアガイドの方が、「ハワイの人が日本人にフレンドリーなのは、あなたたちが凄いからではなく、移民して来た日本人がハワイに対して貢献してきたから。」「あなたたちがどのような態度で過ごすかで将来の日本人への対応は変わる。」という言葉が心に残りました。
ハワイ日本文化センターのサイトはこちら
さて,8月1日は久々に英語の授業です。午後からは金曜日に行う最終プレゼンテーションの準備となります。今回の最終プレゼンですが、今まで行っていた,インターネットや教科書の内容を読み、自分が大切だと思ったところをまとめる形式というプレゼンテーションとは大きく違う点があります。
今回、私が生徒に課したのは、
①なぜ自分がそのテーマに興味を持ったのか動機を説明する。
②そのテーマ、リサーチに対する調査前の仮説を立ててプレゼンで共有する。
③ネットで調べるだけではなく、なるべく効果的な資料を使う。(図書館の文献やインタビューなどを含む)
④仮説と得た結果を比較検討しながら自分ならではの意見や発見を述べる。(ただまとめるのではダメ)
です。
ほぼ大学生3年生のゼミが始まってからするような内容ですが、少なくても5分以上英語で行うことになります。一般的な高校生ならプレゼンのスライドを作るだけでも大変なはずですが、GSの生徒たちは高1からスライド作り、そして情報をまとめる程度のプレゼンは何度も繰り返してきました。大学生レベルの要求にもきっと応えてくれるのではないかと思っています。
と、文章を書いている間にも、3人ほど積極的にアドバイスを求めに来ました。アドバイスを求めて、私と会話する中で、答えを教えなくても頭の中が整理され自分で答えに気づいて帰っていきます。生徒たちの成長を感じます。さて,どんなプレゼンテーションを披露してくれるのでしょうか。今からとても楽しみです。